約 1,660,791 件
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1088.html
何故自分は眠り続けていたのだろうか? 単純に疲れていたのかもしれない。最近、僅かな時間の間に目まぐるしい程に沢山の事があった。 体が純粋に休みを欲しがったのかもしれない。 「僕はどれくらい眠っていたの?」 「そうだな……今日で丁度一週間ってところだ」 一週間――長いようで短い時間だ。 「皆は?」 とりあえず、ゾットにいたメンバーだけにも自分が目覚めたという事実は伝えておかなければならない。 「それなんだが……」 軽い気持ちで聞いたつもりであったが、シドの顔は最前に増して緊張の色が強くなっている。 「ヤンは一旦ファブールへと帰国した。このご時世だ、一体いつ何が起こるかわかったもんではないからな。そしてカインなのだが――」 ここからが本題だといわんばかりに間を開ける。 「ゴルベーザについて色々と調べ事をしているようだ。お前にも話したい事があるそうだ」 「僕に?」 「ああ、儂も詳しくは聞かされておらん。だから詳しくは直接あやつの口から聞くのだ。その前に――」 続く、シドの言葉に先回りしてセシルが答える。 「ローザですね」 「そうだ。ローザはまだ街の方にいる。迎えに行ってやれ、そしたらここに戻って来い」 「わかったよ」 先程の会話の流れで、シドが眠り続ける自分をどれだけ心配しているかは充分に分かっていた。 ならばローザは尚のことだ。早く元気な顔を見せてあげるのが一番良い事であろう。 そう思うと、セシルは足早にバロンの町へと駈け出した。
https://w.atwiki.jp/yaruten/pages/204.html
【終わりの始まり】やる夫転生■【終わりの途中】 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1295530015/ 【76スレ目】
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1097.html
複雑怪奇な迷路の答えをいきなり聞かされたようだ。 「地底……? 其処にクリスタルが?」 「そうだ、この世界の四つのクリスタルはいわば表のクリスタル。ならばさしづめ地底になる四つのクリスタル は闇のクリスタルというのであろう」 今度はカインは答えた。 「闇のクリスタル?」 情報がいきなりどっと流れ込んできて軽く混乱気味である。先ほどから新しく登場する言葉に疑問符を付けること しかできない。 少し頭を整理するべきか? 否ここは黙って話を聞くべきであろう。情報を整理するのはそこからでも遅くはない。 むしろ今の言葉だけでは判断材料が少なすぎる。一つ一つの言葉を頭に留めるように聞くのが最善だろう。 「その闇のクリスタルが本当に存在するのかを今ここで証明する事は出来ない。一応僕の専門外の分野って事になってる からね。疑ってもらっても構わない」 カインと入れ替わりにコリオが口を開いた。 「でも……どうやらそんなにのんびりと考えている時間はなさそうなんだよね……」 そう言ってカインの方へと目くばせする。 「ああ、物事の真偽を考察するのは決して悪いことではない。だがそれは時間が許してくれる時のみだ」 それはつまりこの問題に関してはあまり考える余地がないという事か? 「ゴルベーザの方は既に全てを把握しているのだ……」 一拍置いてからカインは話始めた。 「闇のクリスタルの存在もそれが何処にあるのかすらもゴルベーザの奴は探し当ててしまっている」 ゴルベーザはクリスタルを集めることを最大の目的としていた。その為にはどんな犠牲も厭わない様子であった。」 実際に多くの国が焼き払われ、多くの人が犠牲になった。アンナ、テラ、バロン王……父として慕っていた、そして カインもその心を利用されていた。 「それで! 地底にはどうやって行けば!?」 考えれば考えるほど焦燥の気持ちがセシルを支配する。急がねばならないだろう、地底がどんな場所であるのかは セシルは全く知らない。 其処には人が住んでいるのか、国家は存在するのか等全てが分からない未知の領域である。 しかし、ゴルベーザは地底がどんな場所であっても多大な被害をもたらすのは間違いないと思った。 急がねば。逸る気持ちが自然に結論を要求する発言へとセシルを向かわせた。 「ああ……言葉通りの地底、この世界の裏にある」 セシルの剣幕に一瞬圧倒されながらもコリオが話始める。 「まあ、これだけじゃ何を言ってるか分からないだろうから、詳しく説明しようか。まずは本当にその地底世界が存在する としたら真っ先に疑問に思うのは一つだね。今僕達がいるこの世界と裏にあるであろう地底。この二つの世界の片方から もう片方の世界に行くことはできるのか? できる限り往復できるのが望ましいけど、この際片道だけでも構わないからなんらか の手段を講じて行くことが出来るのか?」 それまでの軽い口調から一転、コリオの口調は険しさを帯びている。 「結論から言えば出来る。<可能>なんだよ<不可能>ではなく」
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1095.html
「入るぞ」 そう言ってカインは扉を開けた。 扉の中には一般的な民家と変わらない内装の部屋一杯に所狭しといったばかりの本と黴臭い匂い、それに一人の 男が本に囲まれて座っていた。 「やあ」 セシル達二人を見ると男の方は気さくな様子で挨拶を交わしてきた。 僅かな一声ながら、先程の声主の正体である事は分かった。 縁の太く、顔と比べれると少しばかり大きすぎる眼鏡をかけ、ボサボサに伸ばしきり肩下まで到達しようとする髪に 顎には不精髭を生やしっぱなしにしているその姿は一見するとみすぼらし印象を持たせた。 「君がセシルかい。始めてだよねこうして顔を合わせるのは――」 だが、一旦口を開くとすぐさま先の様な印象は薄れた。 その男の声色は澄みやかに透き通っており、口調も外見からイメージされるような暗さや気難しさはない。 むしろ気さくな様子で誰とでも仲良くなれそうな雰囲気を醸し出している。 「初めてだ」 まじまじと男を観察しているセシルに変わりカインが答える。否定するつもりはない。 セシル自身も彼と会った記憶は当然ないないからだ。 「そっか――始めまして。僕はコリオ。君に話があってここまで来てもらった」 男――コリオと目が合った。 巨大な眼鏡の奥底に眠る瞳は好奇心に満ちたりており、如何なる時にも探究心を忘れることのなく何かを追い求める かのように光り輝いている。 冴えない外見と不精鬚ですぐには気付かなかったが良く見ると年端もセシルやカインと差ほど変わらないように見える。 少しでも小奇麗にすれば、理知的な青年として周囲の目を引きつけてしまうのではないか。 「単等直入に切りだすよ。クリスタルはあれが――ゴルベーザとやらが奪取したやつですべてではない。って……これは カインもはなしているね?」 「あ……ああ」 言葉通りいきなり本題に移ったので少し驚いた返答になった。 「クリスタルはこの世界には八つあるんだよ。つまり残り四つもあるって事……だったらその残りのクリスタルはどこに あると思う……?」 にやりとコリオの口元が笑う。 「表と裏……?」 先程のカインの言葉を反芻する。 「!」 そこである考えに行きついた。 「世界の裏……」 「そう此処にあるんだよね」 セシルの言葉を肯定するコリオは不敵な笑みを維持したまま地面を指差した。 「文字通りの地底。世界の裏の姿……」
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1093.html
カインの後を追うとやがて一つの開けた場所に出た。 島の中で数少ない平野部分であるそこはゴブリンぐらいの魔物を追い払う為に作られた、気休め程度の低い柵に囲まれ、 二階建ての民家がまばらに散在していた。 町ではなく集落と呼んだ方がふさわしいその場所であるが、森林と山岳に覆われたこの島においては最も栄えている場所なのであろう。 行き交う人々は少ないながらも、集落は予想以上には活気に満ち溢れていた。 「こっちだ」 カインに促されるままに歩を進めると、一つの民家へとたどり着いた。 「ここが?」 見たところ、道中に見た他の民家と何ら変わりはしない普通の場所である。やや拍子抜けしたというのが本音だ。 「ああ」 簡潔な返答をすると、セシルの返事を待つことなくカインは民家の扉を叩いた。 「あ……はい!」 程無くして扉の中から声が返ってきた。それから間をおかずに扉が向こう側から開いた。 「あら……カインさん。こんにちわ」 姿を現したのは若い女性であった。見たところの年齢はセシル達とあまり変わらないように見える。 「コリオは?」 「それがあれからずっと部屋の方に籠もりきりで……まあいつもの事なんですけどね」 そこまで言って、セシルと若い女性の視線が合った。 「あ、その人がセシルさんとローザさんですね!」 にっこりと笑顔で会釈してくる。 「こちらこそ」 セシルも返答を返す。 見たところの年齢はセシル達とはそれほど変わらないであろう。 「なら、奥を使わせてもらうぞ」 それだけ言うと、女性の返答も待たずに奥へと進む。 「セシル、お前も来い。気まぐれな奴だからな……早めに話を聞かねばな」 考えている時間は無さそうだ。セシルもカインの後を追って歩き出した。
https://w.atwiki.jp/bzspirit/pages/796.html
「20世紀少年 -第1章- 終わりの始まり」(20せいきしょうねん だい1しょう おわりのはじまり)は、2008年に公開された日本の映画作品。原作は、浦沢直樹による日本の漫画作品「本格科学冒険漫画 20世紀少年」及び「21世紀少年」。全3部作の第1作目である。 会報81号に掲載されたコーナー「IT S ROADSHOW TIME!! ~さよなら、さよなら、さよならなんかは言わせない~」にて、松本孝弘が第2作目「20世紀少年 -第2章- 最後の希望」を鑑賞。その際、DVDは購入していたがまだ観ていなかったという本作を事前に鑑賞している。 関連商品 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) DVD(豪華盤) Blu-ray DVD(通常盤) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1098.html
「…………」 その言葉を聞いてもなおセシルは黙りこんでいた。言葉が出なかった訳ではない考え込んでいたのだ。 この地上世界と地底世界は完全に遮断された別世界などではなく、どこかでつながっている世界である。そして両者間の 世界を実際に移動する事は可能なのである。 しかし、それは手放しに喜べる事ではない。セシル達が地底へ行くことが出来るのならば、ゴルベーザも例外ではないだろう。 地底世界の存在をどれくらいの人間が知っているのかは良く分からないが、其処には人――地底人とでも言うべき存在がいる。 もう誰にも犠牲になってほしくはない。より一層急ぐ理由が出てきた。 「正確には<可能>ではな<可能>になったというのが正しいのだけどね」 意思を固め、地底へと行く方法を尋ねようとしたところでコリオが再び口を開いた。 「遂最近の話だけど、世界を大きく震撼させる衝撃があっただろう?」 心辺りはすぐに分かった。テラのメテオの事だ。 「……ああ」 その場にいた当事者として複雑に思う所があるものの、こくりと頷いた。 「あの影響で地上と地底を隔てていた境界、<膜>とでも言った方がいいのかな……その部分が非常に不安定になっているようなんだ」 コリオは別段、メテオが起こした事象を批判する訳でも恨みをぶつけているわけでもない。だが一つ一つの言葉が小さな棘のように セシルに突き刺さる。 「実際に大地のあちこちに穿たれたような箇所があるだろ……そのような場所は特に<膜>が不安定になっている。さすがに 全てという訳ではないが幾つかの箇所からは、直接地底へとそれも往復が出来るようになったんだよ。まさに不幸中の幸いといえるよね」 不幸とはテラのメテオで大地が穿たれた事である。では幸いとは…… 「これでゴルベーザを出し抜くという程ではないが対等の立場へと立つ事が出来る」 今度はカインが切り出した。 「ゴルベーザの奴は地上と地底、二つの世界を安定して往復する手段を探していた。各地のクリスタルを略奪するだけでなく 世界を結ぶ場所を探していた……そして奴はそれを探し当てた」 声に力が籠る。 「その場所は二つあった、一つはゾットの塔。だがこの塔は既に先の戦闘で破壊され使い物にならない。そしてもう一つが バブイルの塔。エブラーナ国にそびえたつ謎の巨頭とされていた所だ」 その場所はセシルも知っていた。ゾットを見た時、バブイルの塔に似ていると思ったが、よもや同じような機能を持っていたとは。 「ゴルベーザはその二つの塔を確保した、それで二つの世界の往復を自分で独占したものだと思っていた。ゾットを爆破したのも 俺達に利用されるのを嫌ったからだ。バブイルさえ残っていれば地底へは行くことができるからな」 段々とセシルにも分かってきた。つまり何が幸なのかと言えば―― 「先の世界の衝撃は奴にとっても予想外にしなかった事だ。ましてやそれの所為で地上と地底を行き来する手段がバブイルの塔以外 にもあるとは誤算以外の何者でもない。そして俺達から見ればこれは願ってもみないチャンスなんだ」 老魔道士の放ったメテオ。術者が何を想っていたのかは既に知る由もない。しかし、メテオは新たな戦いの幕開けの開始となったことは確かだ。 同時にそれは完璧のはずであったゴルベーザの作戦が狂い、セシル達に逆転のチャンスを作る結果にもなったのだ。 「テラ……」 腕に力が籠る。地上に被害は出たが、メテオによる歪みがなければゴルベーザに対抗する手段は無く、完全なチックメイトであった。 例えゴルベーザを倒す事は出来なくともテラのメテオは無駄ではなかった。 (ありがとう。後は僕に任せてくれ) 彼が命と引き換えに示してくれた唯一の手段。それを最大限に利用するのが今のセシルの使命であると言える。
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/252.html
最終階層・終わりと始まりの地 貴方達はエストレアの鏡により、最終階層である終わりと始まりの地の映像を見せられていた。 そこには漆黒の巨大な魔竜と、その背後にある繭の形をした巨大な機械装置が見える。 その2つ以外、何もない宇宙空間。 それが、最終階層の終わりと始まりの地であった。 「アドラメレク!」 「…となると、後ろの機械はハミルトンか」 そして、一度戦った者なら気づくだろう。 最後の始祖の悪魔、サルモンの姿がそこには無いという事に。 「…兄者」 「ああ…。まったく母者も厄介な奴を残して逝っちまったな」 皆から遥か後方、エストレアの視界に入らない位置から鏡を見ている二体の悪魔は、その映像を見てそうつぶやいたのだった。 創生竜アドラメレク撃破 ―改めて、ご苦労だった。アドラメレクを滅した事により、奴はこの空間とハミルトンの維持に使っていた力を、ハミルトンと共に別の次元へと移る事に成功したようだ。もう、お前達がすることは何もない。後1週間程で完全にこの異次元空間は消滅し、お前達は元いた場所へと戻るだろう― 「これで終わったんだね」 「サルモンの野郎の姿が見えねぇが…」 ―我も結界の再構築を行った。サルモンがこの拠点に攻めいることは無い。安心して、最後の時までここで過ごすがいい― 「本当にそれでよいのか?」 「…え?」 「おいロノ爺、俺達悪魔は消えるからって難癖は辞めといた方がいいと思うぞ?俺は麻衣や空たんとかのために尽力できたし悔いはない。…いややっぱり最後にハグしてちゅーして×××して○○○くらいはいいよね!?」 「自重しろ兄者」 「フォフォフォ、難癖か。本当にそうだといいのじゃがな?」 その言葉に、一同は黙る。 そして沈黙を破ったのはラウムだった。 「クソジジイ、テメェが言いたい事はわかるぜ。どうせハミルトンも破壊しろって言いてぇんだろ? でも無理なもんは無理だろ。昨日、茜達が親父殿と戦った場所は、4竜が揃ってこそ行けた場所だ。ここよりかなり別次元にあるそんな場所、さすがの俺でも行けねぇよ」 「たった5体の悪魔の中でのみ、最強を気取っている悪魔にはそうじゃろうて」 「アァ!?喧嘩売ってんのかジジイ!」 ブチギレたラウムを、フェルゼとベレトが止める。 笑っているロノウィに、訝し気に伍代が尋ねた。 「次のハミルトンは、アドラメレクの話によればおよそ1千年後。ハミルトンのあるエリアに行ける方法がないならば、それはその時代の者達に託すしかないのでは?それとも、お前なら何か方法を知っていると?」 「そんなもんは知らん。それにもし知っていても、教えるはずがないじゃろうが。ワシは敵対するつもりはもうないが、味方になってもおらんのだからな」 「だったら話を混ぜっ返さないでくれないか?お主のそういう所が、私は昔から嫌いなのだロノウィ」 「フォフォフォ!フェルゼらしいのう。まあせいぜい残りの1週間、別れを堪能するとよいわ」 ロノウィは、そういって水鏡流星や神崎信、織ヒカルを見た。 彼らだけではない、ここにいる尸黄泉はまたギルドの牢屋へ。派手な男や椿ヒメ、臥龍ヒアデス達はそれぞれの国へ。 またフェルゼやベレト、ウバルやラウムといった悪魔達とも今生の別れになるのだ。 あえて煽るような言い方をしつつ、ロノウィは消えた。 既に、今の世界は救われたのだ。 なのに今まで口出しをしなかったロノウィが、ここに来て絡んできた事に、疑念を抱く者はいるだろう――。 エリュシオン発進! 貴方達を乗せ、エリュシオンは拠点ごと飛び立った。 訓練所や休憩所とつながったまま、このエリア一帯を飛ばしている。 「見たかァ!!これぞ出雲の技術力よォ!!」 「半分以上は俺達悪魔の力だけどな」 「兄者、エストレアの力が半分以上だ。俺達は2割程度と謙虚にふるまっておかないと、こちらを睨みつけているぞ」 そう、ファニーやクレイだけでなく、フェルゼ、ラウム、ウバルと言った悪魔達。 エストレアの力や、エリュシオンにターボエンジンを6層の松原研究所にいってわざわざ強化した臥龍ヒアデスと双星ポルックス、玖珂ベルルムの力のたまものと言えるだろう。 全体を一度見た後、艦長である土御門伍代は全員へと告げる。 「これより、”規定ポイント”へと到達する。皆、準備はしておくように」 「えっ?ハミルトンの座標が分かったんですか?」 「いや、それはまだだね。ただ…悪魔組の報告が正しければ、そろそろ”向こうから座標を報せに来てくれる”はずさ」 その時、エリュシオンが大きく揺れる。 何者かの攻撃を受けたようだ。 「伍代さん!甲板に現れたようです!」 レーダーを見ていたポルックスは、伍代へと慌てて伝える。 一度頷いた後、伍代は貴方達を見た。 「総員、戦闘準備!まずは前哨戦として、始祖の悪魔サルモンを撃破する!」
https://w.atwiki.jp/naotoyaru/pages/16.html
スプラッシュ・気えぇぇ・たろう・かける モニターが起動したのとほぼ同じタイミングで固く閉ざされていたドアの錠が開き、数人の男がぞろぞろと部屋に入ってきた。 僅かな間だが、部屋のざわめきが嘘のように治まったのをスプラッシュは感じた。 「あ――」 呆気に取られていた気えぇぇだったが、はっと男達の方を振り向き鋭い視線を浴びせた。怒りの対象を彼らに向けるつもりだろう。が―― 一瞬でその顔が強張る。彼らは――銃を持っていた。 「あ……おい……」 気えぇぇはその場に座り込み、酸素を求める金魚のように口をぱくぱくと閉じ開きしていた。 それが本物かどうか考察する時間も少しはあっただろうが、先程とは一転、恐怖に縮こまる気えぇぇには無理な注文だろう。 先頭に立つ男の手が銃を収めたホルスターへと伸びた。 『はいはい、静かにしなさい。愚民ども』 突然、モニターから声が発せられた。男達は慌ててモニターの方を振り向き、敬礼する。 スプラッシュは血を見ることにならなかった幸運に心の中で感謝しながら、気がかりであったモニターの方へと目を移した。 モニターには男の顔が大きく映し出されていた。 ――いや、男と言ってしまっては語弊があるだろう。モニターに映る人物はAAのようなものが描かれた覆面を被り、声をボイスチェンジャーで変換している。本当のところ、性別など分からなかった。 覆面が手を叩いた。いっせいに注目が覆面に集まる。 『さて、説明しようか。私はこの世界の救世主゛かける様゛だ』 あたりには張りつめた糸のような緊張感が漂い、声ひとつあがらない。 『お前達は私の考案した偉大なる計画――バトル・ナオトヤルの参加者に選ばれた』 と、この場の人間の誰もが首を傾げた。かけるの言葉の真意がよく理解できなかったのだ。 「バトルナオトヤル……なんですか?それは」 参加者のひとりが手を挙げた。たろうだ。 『これから説明します――もっとも、一言で済むことだが』 「一言で?」たろうが素っ頓狂な声をあげた。 『つまり――ここにいるお前達にはこれから三日間、あるゲームに参加してもらう……おっと、一言で済ませるんだったな』 かけるは一息おいて言い放った。 スプラッシュはその間、とてつもない嫌な予感を頭から拭いきれなかった。 『その内容は――殺し合いだ』 その言葉は、驚くほど現実味を帯びて呆然とする彼らの頭の中に響き渡った。 「ふ……ふざけるなっ!」 もはや聞きなれた罵声が聞こえた。説明するまでもない――気えぇぇだ。 「さっきからなんなんだ……バトル・ナオトヤルとか殺し合いとか……もうわけわかんねぇよ!」 最もモニターに近い所にいた彼は、画面に爪を立て、掻き毟りながら声を張り上げる。 自らの身の危険も顧みず訴えかけるその姿からは、勇敢とも無謀とも言えない何か狂的なものを感じた。 「静かにしろ!」 男達は相も変わらずためらいなしに銃を抜き、気えぇぇに向けた。 『待ちなさい』 かけるが言った。間近にいた気えぇぇは高い音に驚き、びくっと体を震わせる。 ――殺されずにすむのか? スプラッシュは先程、かけるが部下達の行動を静止――と言っていいのか分からないが――した光景を思い出した。気えぇぇもまた同じことを思ったのか、この場には不釣り合いともいえる期待のこもった目でかけるを見た。 かけるは懐からリモコンのようなものを取り出した。 『いきなり殺し合いをしろと言われても、現実感など湧かないだろう?』 かけるはモニター越しにリモコンを気えぇぇに向け、スイッチを押した。 『折角だ。首輪の爆弾の威力でも教えてやろう』 「……え?」 直後、気えぇぇの首輪から電子音が発せられた。 ――凍りついたかのように静まる、空気。 ピピピピピ…… 「お……おい、なんだこれ――音が……」 ふと、彼の脳裏にかけるの言葉が断片的に過る――爆弾、というキーワードが。 首輪から発せられる電子音は次第に早くなっていく。 気えぇぇは何かを叫ぼうとしたが、乾いた喉から出てきたのは呻くような声のかけらでしかなかった。 ――嫌だ!死にたく……死にたくない……! 彼にも理解できていた。自らの生が絶たれる瞬間が、死の瞬間が。 『これでお前達愚民にも分かるだろう。さぁ殺し合いの始まりだ』 電子音が途絶えた。 あらゆる音が、世界から消えた様な錯覚がした。 次の瞬間、ボン!と弾けるような音がしたと同時に、赤い噴水があたりにほとばしった。 死亡――気えぇぇ
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1094.html
カインに促されるまま階段を上ると一つの扉へとたどり着いた。 「ここだ」 そう言って扉をノックする。 「カインか」 程無くして声が返ってきた。今度は入口と違って男の声であった。 「セシルはどうした?」 「連れてきた」 行き成り自分の名前が出てセシルは驚く、扉の中の人物が誰なのかは知らないが、向こうは自分を知っているようだ。 「他には誰もいないか?」 「ローザも一緒だが、下でキャロルとお茶の準備をすると言っていた」 キャロル。入口で出迎えた若い女性の事であろう。 カインがどうなのかは良く分からないが、彼女と出会うのはセシルもローザも初めてであった。 しかし。初対面ではあるが、彼女の素振りは何処となく好感を感じさせた。 人と人との繋がりは僅かな時間しか存在しない刹那的なものでは決してない。たとえ好きな人でも嫌いな人でも 何所かで顔を突き合わせ、その度に相手への印象というものは変化していくのだ。何事にも不変は存在しない。 しかし、人間という生き物には、性別や年齢など関係無く初対面で誰しもに好感を与え、誰とでも仲良くなってしまう人が必ずいる。 彼女――キャロルは間違いなくそのようなタイプに分類される人であろう。 「そうか、まあ丁度いいか」 同性であるローザにとって、キャロルはセシル以上に好感を感じたのであろう。 入口での僅かな会話だけで二人はすっかり意気投合したようであった。 「狭い部屋だ。できるだけ入る人数は少ない方がいい」 扉の中の男が呟いた。 それは入室の許可である事は暗黙のうちに分かった。